Classiques japonais avec furigana
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おおとねのおおものつり
大利根の大物釣
石井 研堂
Lisez 大利根の大物釣 (おおとねのおおものつり) de 石井 研堂 (いしいけんどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 8 600 caractères · 17 écrans
彼是二十尋ばかり引き去りて、止まりたれば、即ち又手繰れるに、ごつごつと、綸に従きて近づく様明に知れ、近づきては又急に延し、其の勢いの暴き、綸はびんびん鳴りて、切るるか切るるかと、胸を冷せしことを一再のみならず。漁史綸を出しながら小声に、『何だって、馬鹿に強いよ。』と言えば、死したる如く、水押に俯伏して動かざる船頭、
『左様でしょう。六年ですよ。此の調子では、また一寸には痿えますまい。』と声を低めて言う。
漁『切られるかと思って、何だか怖くなって来た。』
船『なアに大丈夫です。気永くおやりなさい。』
漁史の動悸は、一秒毎に高まり来り、嬉しいには相違なきも、危惧の念亦一層強く、たとえ十分信頼せる釣具にせよ、首尾よく挙げ得るや否やを、気遣うことも頻りなり。
引き寄せては引かれ、寄せては引かれ、数回くり返せども、敵の力は、少しも衰えず。其の引き去るに当りては、一気直に海洋まで逸し去らんとするものの如く、綸の弾力部を全く引き尽して、また余力を存せず、屡、奇声を発す。されども、暗中ながら、綸を紊すことも無く、力に従いて相闘いしかば、三十分許りの後には、船頭の助けを得て、沈を手元に引き留むるを得たり。