Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おおとねのおおものつり

大利根の大物釣

石井 研堂

Lisez 大利根の大物釣 (おおとねのおおものつり) de 石井 研堂 (いしいけんどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 8 600 caractères · 17 écrans

Aozora Bunko

実は、泣き居しなりき。拳を振りしめたるに顔を当て、思えば思う程、腸は煮返る如くにて、熱涙は自ら禁ぜず。

船頭は、悄然として再び、『お気の毒でしたね。』と慰む。伏したる漁史の口よりは、微かに、『どうも、お前にも気の毒で。』

船『なアに、私などに、其様な御遠慮はいりませんよ。水ものですもの、何方だって……。』

漁史は、これには、返辞無かりし。船頭は急病人の看護者の如く、暫く其の側を離れざりしが、『また幾らも来ますから……』とて、静に坐に直り、綸を埋めて、更め投下しぬ。

漁史は、徐に身を起し、両腕拱きて首を垂れしまま、前に輪を為せる綸を埋めんともせず、小ランプに半面を照されて、唯深く思いに沈むのみなり。

茶屋の主人なる人常に言えり。世人、釣り落せし魚は、大きなるものなりと、嘲り笑えども、釣師の掛直のみならず、釣り落せしは実に大きなり。一尺のものを目当てに釣るに、三尺なるが懸る故に逸らすなり。されども、この三尺なるは、頻々懸るものに非ざれば、之を挙げ得て、真の釣の楽みあるなり。故に、釣具にも、術にも、十分の注意を要するなりと言えり。

彼の人又言えり。釣に適したる水加減、天気工合の、申し分無き日とては、一年に僅三日か五日なり、此の、僅の日に釣りたるだけにて、一年の釣楽は十分なりと。