Classiques japonais avec furigana
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だいりきものがたり
大力物語
菊池 寛
Lisez 大力物語 (だいりきものがたり) de 菊池 寛 (きくちかん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 677 caractères · 14 écrans
もう、御かんべんを)と云うと、僧都はまた脚をぐっとしめつけた。すると男は(参ります。参ります)と悲鳴をあげたので、僧都は脚をゆるめた。男は仕方なく、右近の馬場へ行った。そこで、歌など口ずさんでから、今度は喜辻の馬場へ歩けといった。そして、僧都の宿所まで負われて来たときはもう暁近くで、男はへたへたになっていた。僧都は男の背中から下りてから、その男に衣をぬいでやったが、男は地面にうずくまったまま、しばらくの間は起き上れそうにもなかった。
もう一人もやはり僧侶で、広沢の寛朝僧正という人である。大僧正になった人で、仏教の方でも有名であり、宇多天皇の皇子の式部卿の宮の御子である。この人は、広沢に住んでいたが、同時に仁和寺の別当をも兼ねていた。別当というのは、検非違使の長官をも云うのだが、神社仏寺の事務総長をも云うのである。ある時仁和寺が修理工事を始めていた頃の話である。
ある夕方、寛朝僧正は、もう工事がどの位進んだか見たくなって、一人で高足駄をはき、杖をついて、工事の現場を視察していた。現場には、足場のために、高いやぐらが組んである。その柱をくぐりながら見ていると、烏帽子を引き垂れて着た男が、つかつかと寄って、僧正の前に立った。