Classiques japonais avec furigana
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おおとりものせんにんつぼ
大捕物仙人壺
国枝 史郎
Lisez 大捕物仙人壺 (おおとりものせんにんつぼ) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 47 606 caractères · 97 écrans
ちょうどここまで引いて来た時、どうしたものか一の絃が、鈍い音を立ててブッツリと切れた。
「これはおかしい」と云いながら三味線の棹を膝へのせ、義哉は小首をかたむけた。
「一の絃の切れるのは、芽出度いことになっているが、どうもそうとは思われない」彼は何となく不安になった。「変ったことでもなければよいが」
帰って行ったお錦のことが、妙に気になってならなかった。で、三味線を掻いて遺ると彼は急いで立ち上った。
「お花お花」と小間使を呼び「ちょっと私は出てくるからね。この手箱をしまっておくれ」
云いすてとつかわ家を出ると、愛宕下の方へ足を向けた。
暮れそうで暮れない春の日も、愛宕下へ来た頃には、もうすっかり暮れてしまって、人の顔さえさだかでなかった。その時こんもりと繁り合った、林の中から云い争うような男女の声が聞こえてきた。
さてこそ! というような気持がして、義哉はそっちへ走って行った。
そこは林のずっと奥で、丘になろうとする傾斜地であったが、香具師風をした八九人の男が、一人の娘を真中に取り込め、口汚く罵っていた。その娘はお錦であった。それと見て取った小堀義哉は、足音荒く走り寄ったが、