Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lisez 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 722 caractères · 286 écrans

Aozora Bunko

その一つは、多年の敵の消息。他の一つは、それを無遠慮に別室のお銀様に聞かせたくないとの心配。仏頂寺と丸山とは、そんなことに頓着なく、兵馬のために吉報をもたらしたつもりで得意になって、

「ついこの間、計らずもあの男に信州の塩尻峠の上で会ったのだが、その時は、それと気づかず、たった今、あれだなと思い出したようなわけだから、無論、おたがいに名乗りもせず、あの男の行先とても聞いてはおかなかったのを残念に心得ている。ところがここで、君に出逢ったのが勿怪の幸いとなった、われわれとても別段急ぐという旅ではないから、これから君と共に引返そう、引返してあの男のあとを慕ってみようではないか。君にとっては不倶戴天の敵、われわれも、もう一応、会っておかなければならないのだ、共に願ったりかなったりの好都合ではないか。かれはいま眼が見えぬ、眼は見えないが、その太刀先は少しも衰えない、次第によっては、われわれが君のため、後見の役目をつとめてもよろしい、ずいぶん、油断すべき相手ではない」

案の如く、お銀様に聞かせたくないことを、この男はズバリズバリとしゃべってしまったのみならず、ひとり呑込みで同行をとりきめ、まかりまちがえば、助太刀の役まで引受ける気取りでいる。