Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lisez 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 159 272 caractères · 313 écrans
鼻っぱしをガリガリと噛られては堪らない。しかし、よく見れば道庵の鼻は完全に付いているし、四方を見ても、何物も道庵を脅しに来たものの形跡を認められない。
「危ねえ、危ねえ、こんなところに泊っちゃあいられねえ、たしかに今、おれの鼻っぱしを噛りに来た奴がある」
といって道庵は、しきりにおびえながら、その荷物を掻き集めて、こんなところには一刻もいられないというような身ぶりをする。
ははあ、それでは、さいぜんのあの犬に似て犬でないのがやって来て、道庵の寝込みを襲ったのか。
慌てながら、うろたえている道庵を見ると、ブルブルと胴ぶるいが止まない。怖いばかりではない、寒いのだ。酔っているうちこそいい心持で寝ていたが、多少醒めては、川原のまん中へ莚敷では堪るまい。怖いのでうろたえているのか、寒いのに怖れをなしたのか、とにかく、眼を醒ました道庵が、一刻もここにいられないという心を起したことは確かですから、米友も出立の用意をする。
出立の用意といったところで今は真夜中過ぎ、一里の道を善光寺に着いたところで、まだ戸をあけている家はあるまい。第一、つい眼のさきの丹波島の渡し場だって、舟を出すまいではないか。