Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lisez 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 86 467 caractères · 168 écrans

Aozora Bunko

「福松どの、福松どの――」

その声は不思議や、宇津木兵馬の声です。

二十九

思いがけなく、外からおとのう人の声を聞くと、家の中の二人が一時大あわてにあわてたようであったが、そこはさるもの、がんりきの百は早くも裏口から脱兎のように飛び出し、芸妓の福松がなにくわぬ面で格子をガラリとあけ、

「まあ、数馬様でいらっしゃいましたか、こんなに遅く、どうあそばしたのでございます」

「実は……」

兵馬が閾を跨がないで何をか言わんとするのを、芸妓は、

「まあまあよろしいじゃございませんか、わたしのところだって鬼ばっかりはおりません、少しお上りあそばせよ」

「いや、ここでよろしい、ちょっと耳を貸してもらいたいのだ」

「まあ、そうおっしゃらずに、少し……」

「いや、ここがよろしい、ちょっと聞いてもらいたいことがある」

何か内証話があるらしいそぶり。福松は引寄せられて、

「何でございますか」

「あの……」

兵馬も面を突き出して福松の耳に口をつけようとすると、紛として白粉の匂いが鼻を打ちました。

「あ、よろしうございますとも、それはよう心得ておりますから、そういうことがあり次第、何を差置いてもあなた様にお知らせを致します」