Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lisez 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 254 021 caractères · 495 écrans

Aozora Bunko

熟視すると、それは殺ぎ落された人間の小指一本であります――

ややあって、お銀様は火箸を取って、その小指をつまみ上げて、懐紙の上に載せて見ました。

言うまでもなく、今のあのならず者が落して行ったかたみである。その名残りとして、そこから点々と血の滴りが糸をなして、自分の座敷を横断している。

お銀様は小指を包んで、一方にさし置き、それから、雑巾を提げて来て、畳の上の血の滴りを静かに拭いはじめました。

その間、向うの座敷でも何とも言わず、お銀様もまたその仔細をたずねようともしなかったのですが、あの白々しい取引があれまで進んで、いざ、現なまを渡そう、受取りましょう、というところになって、不意にこんな現象が出来してしまった。

お銀様としても、いまさら指一本ぐらいのことで、仰々しく騒ぐのも大人げないと信じたのでしょう。また、たとえあんな奴にしてからが、ここで真向梨割りにでも成敗された日には、あとの始末が大変である――小指一本だけなるが故に、あの盗人めも自分で自分の身体を始末して行ってしまったし、あとの掃除も人手を借らずに、こうしてあっさりとやって行ける。それを寧ろ勿怪の幸いとして、畳の上から次の部屋に至るまで、血の滴りを拭うことの労を厭いませんでした。