Classiques japonais avec furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lisez 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 285 635 caractères · 558 écrans
いやなおばさんと、男妾の浅吉とがいなくなってから後、この三階は、わたしたちで占領しているようなもの。上ったならば、当然、わたしたちを訪れる人であろうのに……立消えになってしまった。
お雪ちゃんは、また縫とりをとり上げる気にもならず、相聞の歌を繰返す気にもならず、手持無沙汰のかげんで、しばらく所在なくしていたが――その時、ゾッと寒気がしたものですから、急いで、ぬぎっぱなして置いた黄八丈の丹前を取って羽織りかけ、そうして、こたつのそばへずっと膝を進めて、からだをすぼめて、両手を差しこんで、ずっと向うのふすまを見つめたままでいました。
この時、湯槽は急に賑わしくなって、高笑いと、無駄話の声までが、手に取るように響いて来ますけれども、お雪ちゃんはそこへ行ってみようという気にはなりません。
以前は、誰がいても遠慮なく入って行ったものですが、このごろは、どうしたものか、なるべく人目を避けるようにして、誰も入っていない時をねらうようにしては、こっそりと、お湯につかるようになりました。
それというのは、いつぞやあのいやなおばさんから、からかわれて、乳が黒いといわれたのが、突き刺されたように胸の中に透っているものですから、それが気になって、昨日までは、人に見せても恥かしくないと思っていたこの肌が、今日は、自分で見るさえ