Classiques japonais avec furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lisez 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 285 635 caractères · 558 écrans
それが七兵衛には皮肉に響かないで、
「全く、相撲にもあのくらいのは、たんとありません、まず横綱の陣幕と比べて、上背はホンの少し足りないかも知れないが、横幅は、たしかにあれ以上ですね」
「えー」
神尾主膳が眼を円くしました。
「何だ、お前、器量と、かっぷくとを、ごっちゃにしちゃいけない」
神尾が眼をまるくして言うと、七兵衛がさあらぬ体に、
「器量のところも大きいかも知れませんが、体格のところも人並じゃございません、いまいった通り、横綱の陣幕とおっつかっつでございましょう、そうして、眼がすてきに大きくって、爛々と光っております」
「そうか――」
「滅多に口は利きませんが――急所急所で、うむうむと、口を結んでしまいますと動きませぬ。尤も、わたしのあとをつけてみたのは、薩摩屋敷から品川へ出て、東海道の道筋を微行といったようないでたちで、同勢僅か二人をつれて、こっそりと旅行中のことでございましたから、誰も、あれが薩摩の西郷だとは気がつきません、また御当人たちもああして、誰にも気がつかれないようにして、江戸の薩摩屋敷へ度々おいでなさるんだそうですから、屋敷内でさえ、西郷どんがいつ帰られたのだか、知った者もないくらいなんですが、そいつを、わっしが確かに見届けたものでございますから、一番、行けるところまであとをつけて行ってやろうと