Classiques japonais avec furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lisez 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 285 635 caractères · 558 écrans
金助は、しゃあしゃあとして顎を押えたから、お絹もあきれていると、金公いよいよ納まり返って、
「御覧じませ、こうしておりますてえと、それ金さん、お召物を差上げましょう、ヤレ金公、お小遣を持って行きなと、諸方からこの通り恵んで下さいますので、金助、いっこう生活に不自由というものを感じません」
「あきれちまうねえ――そういえばこの羽織なんぞも、そんなに悪くない羽織だが、どこから恵まれたの」
といって、お絹がヤケにぐんぐんと金助の着ていたゾロリとした羽織を引張ってみました。
「どうか、おてやわらかに願いたいもんで。尤も多少お手荒く扱われましょうとも、さめたり、破れたりする品とは、品が違いますんでございますが、それに致しましても、冥利というものがございますから、ずいぶんおてやわらかにお願い申したいもんでゲス」
そこでお絹が、
「ほんとに世間には物好きもあったもんだね、惜しいよ、こんな野郎に、こんな羽織をかぶせて置くなんぞは」
といって、二度、ヤケに金助の羽織を引っぱり廻すと、金助は火のついたように、それを振り払い、
「滅相な、もし羽織に怪我でもあらせるようなことになりましては、あの人に済みません」