Classiques japonais avec furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lisez 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 285 635 caractères · 558 écrans
七兵衛は、美術眼があるわけでもなんでもないが、奥女中は奥女中らしい気品とうま味が出ないものかなあと、淡い不満をいだいてこの絵を見ているだけのもので、頭の中に往来するのは、やはり昨晩、あれからこれまでの、自分のした仕事の吟味と、咀嚼とであります。
だが、やはり、七兵衛の眼は、その奥女中の一枚絵に向ったきりでありますから、よそから見れば、相当のたんのうなる鑑識家が、批評的にこの絵を吟味しているとしか見えないのであります――
おれはいったい、美人と、美人画では、誰のがいちばん好きなんだろう。上代のことはいわず、比較的近代について見ると、狩野家にはもとより、円山、四条にもすぐれた美人かきはいないようだ。何といっても、美人画は浮世絵の畑だろう。もっとも美人というものの標準も、ちょっと問題ではあるが、人好きのする美人は、まず浮世絵と限ったものだろう……ところで、その浮世絵の美人も品々だが、いずれあやめという時は……左様、まずまあ鳥居派で清長、それから北川派では歌麿。
清長にはしっかりしたところがある。歌麿は少しだらしないがたまらない。清長を本妻に、歌麿をお妾としたら申し分はなかろう。