Classiques japonais avec furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lisez 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 368 567 caractères · 720 écrans
鐙小屋の神主はけろりとして、
「ここで、お前さん方にめぐり逢おうとは思いもかけなかった。お前さん方、安房峠からおいでかエ」
それに兵馬が答えて、
「ええ、安房から平湯へ出て、昨晩、平湯へ泊り、こうして、わざわざ滝を見物に来たのです。そうして、神主さん、あなたは?」
「わしは、白骨から乗鞍を越えて来ましたよ」
「え、乗鞍を越えて……今時、あの山が越えられますか」
「は、は、は、もう少し時刻が早いかおそいかすると危ないところでしたよ、危ないといっても命には別条ないが、荒れを食うところでしたよ、それでも運よく、ここまで来ました」
「何しに、こんなところへおいでになったのです」
「滝に打たれに来ました」
「え、滝に……」
「この滝の味は少し荒い」
「たびたび、あなたはこの滝に打たれにおいでになりますか」
「たびたびやって来ますよ」
「そうですか、驚きました」
こうして、兵馬と鐙小屋の神主とが、心安げに会話をしているのを、傍に立って聞いている仏頂寺と、丸山の二人の面の苦々しさ。
ほとんど、憎悪というよりも一種の抑え難い苦痛を感じて、この神主の立去るのを待っているらしい。キリキリと早く行っちまえ、このロクでなし行者め! 不死身無感覚のトンチキめ! 行っちまえ、行っちまえ。