Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

だいぼさつとうげ

大菩薩峠19

中里 介山

Lisez 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 319 771 caractères · 617 écrans

Aozora Bunko

別れを惜しんでいると、処女の親しみを感じるけれども、昂奮し出すと、売女のいや味が油のように染み出す。兵馬は、これを迷惑がって、

「馬はいいですか、明朝六つに出立と申しつけて置いてくれましたね」

「いけませんの――思い直しは叶いませんの、では、あきらめます、いまさら、そういう未練は申し上げられないはずでしたのね、今晩一ばんだけの御縁――」

あきらめられたり、あきらめ兼ねたり――女は三百両の大金の上へ、どっかりと身をくねらせて、やけ半分のような気持で、煙管の雁首で煙草盆を引っかけて引寄せ、

「宇津木さん、あなたという人は、女の情合いは知ってらっしゃるが、女の意地というものがわかりませんのねえ」

「一通りはわかっているよ」

兵馬も、自分が純粋無垢の青年だと誇るわけにはゆかない。その昔は江戸での色町で、相当な疚しい思い出がないとは言えないから、いささか恐れていると、女が、

「では、ほんの一くさり、わたしの身の上話を聞いて頂戴な、わたしののろけを受けて見て頂戴、今晩のは真剣よ」

女は、もうまさしく畜生谷のほとり近い女にかえっている。兵馬はそれに怖れを感じ出しました。