Classiques japonais avec furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Lisez 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 242 044 caractères · 477 écrans
六
そのお角の留守中、裏両国のしもたやへ、
「今晩は、御免下さいまし」
「どなたでございます」
「親方は、おいででございますか」
「どなたでございます」
「金助でございます……」
「金助さんですか」
娘分のお梅が駈け出すと同時に、格子戸をカラカラとあけて、
「え、金助でございますが、親方はお宅でございましょうな」
「まあ、お入りなさいまし、母さんは今留守ですけれど」
「エ、お留守ですって?」
「いいえ、留守でもかまいません、もし金助さんが見えたら、待たせておいて下さいといわれていましたから」
「左様でゲスか、左様ならば御免を蒙ると致しまして」
そこへ腰をかけて、草鞋を解きはじめたのは、金助というおっちょこちょいで、今、旅の戻りと見える気取ったいでたちです。
「草鞋ばきなんですか、ずいぶんお忙がしそうですね」
「どう致しやして、忙がしいのなんの……これも誰ゆえ、みんな忠義のためでございます」
くだらない軽口をいって草鞋脚絆を取っていると、お梅は早くも水を汲んで来て、
「金助さん、お洗足」
「これはこれは、痛み入谷の金盥でございますな」
「さあ、お上りなさいまし、母さんはじきに帰って来るといいおいて出ましたから」