Classiques japonais avec furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Lisez 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 242 044 caractères · 477 écrans
そこへたどりついて、戸をホトホトと叩きました。
荒原にざわざわと風が吹き、草も、木の葉も、一様に裏を返したのはその時。
締めきった戸を、外からホトホトと叩かれた時、まず鉄砲を持った主が、ワナワナと慄え出してしまいました。
この鉄砲というのが、慶長以後、島原の遠征に一度参加して帰ったという履歴附きの代物で、最近においては、塩尻附近の猪追いに持ち出して成功した記録があるので、主も自信のある品にはなっていましたが、この時は、どうしても目当がつかないのみならず、五体が上下に動き出して、その鉄砲を支えられないという有様です。
得物得物を持った駕籠屋と馬方は、土のようになって、ヘタヘタと土下座をきってしまいました。
「久助どの、久助どの」
外では、続いてホトホトと戸を叩き、低い声で人の名まで呼んだのですが、こちらの守備兵の耳ががんがんと鳴り出して、それを聞き取れなかったと見えます。
「テ、テ、テッ砲だぞ!」
と主が叫び出したが、自分で何をいい出したかわかってはいますまい。鉄砲の銃口が無暗に上り下りして躍っています。
すると、外では、やや間を置いて、
「お雪ちゃんはいないか……ともかくもここをあけて下さい」