Classiques japonais avec furigana
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てんしゅものがたり
天守物語
泉 鏡花
Lisez 天守物語 (てんしゅものがたり) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 20 593 caractères · 42 écrans
色のその美しき蝶の群、斉く飛連れてあたりに舞う。雷やや聞ゆ。雨来る。
薄 (薄暗き中に)御覧、両眼赫燿と、牙も動くように見えること。
桔梗 花も胡蝶もお気に入って、お嬉しいんでございましょう。
時に閃電す。光の裡を、衝と流れて、胡蝶の彼処に流るる処、ほとんど天井を貫きたる高き天守の棟に通ずる階子。――侍女等、飛ぶ蝶の行方につれて、ともに其方に目を注ぐ。
女郎花 あれ、夫人がお帰りでございますよ。
はらはらとその壇の許に、振袖、詰袖、揃って手をつく。階子の上より、まず水色の衣の褄、裳を引く。すぐに蓑を被ぎたる姿見ゆ。長なす黒髪、片手に竹笠、半ば面を蔽いたる、美しく気高き貴女、天守夫人、富姫。
夫人 (その姿に舞い縋る蝶々の三つ二つを、蓑を開いて片袖に受く)出迎えかい、御苦労だね。(蝶に云う。)
――お帰り遊ばせ、――お帰り遊ばせ――侍女等、口々に言迎う。――
夫人 時々、ふいと気まかせに、野分のような出歩行きを、……
ハタと竹笠を落す。女郎花、これを受け取る。貴女の面、凄きばかり白く長けたり。
露も散らさぬお前たち、花の姿に気の毒だね。(下りかかりて壇に弱腰、廊下に裳。