Classiques japonais avec furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lisez 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 177 caractères · 22 écrans
手蔓のある才人に占められて、弱気で真面目で、世俗的な働きが無くて、そして、地味な仕事――何時人に知られるかもわからない、芸術的なむずかしい大曲とばかり四つに組んでいる作曲家群は、なかなか容易なことでは浮かぶ瀬はないのです。
わが深沢深もその日当りの悪い作曲家の一人でした。併し、深沢深の持っている才能は非凡で、その雄大な構成力や、奔放な空想は、少くとも日本の現代では比類の無いもので、機会と舞台をさえ具えたなら、これは日本の新しい時代を代表する、第一線の作曲家になるのではあるまいかと、我々友人仲間では噂しておりました。
それが生活のためとはいいながら、既成大家で、恋の狩人で、我々若い作曲家仲間が、日頃叩き落そうとしていた楽壇の偶像、左近倉平の助手になったというのは、何んとしたことでしょう。
一時は腹立ち紛れに、深沢深にまで絶交状を叩き付けたりしましたが、そんな事は、長い間の友情の前には、何んの役にも立つものではなく、三月経たないうちに、元の悪友仲間の縒を戻して、暫くは無事な月日が流れて行きました。
ところで、この深沢深には、世間も友達も親達までも認めている美しい恋人がありました。