Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lisez 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 235 caractères · 22 écrans
それもその筈で、江守銀二といえば、その頃少しは知られた詩人で、甚だしく甘い印象派の詩を発表して、一部の女学生などに騒がれて居ります。
「料理とか、美味の哲学とか、それは私には極めて縁の遠い題目ですが、伯爵の折角の御指名ですから、食物の魅力に就いて私の感じだけを申上げます。――何を隠しましょう、私は非常に鋭敏な感受性と、恐ろしく鈍感な舌を持った人間で、御主人苦心の御馳走も、ミルク・ホールで食べるトーストや、一品料理屋のトンカツと、あまり大した違いを感じないのであります。すべて食物に関する私の興味は、連想の美しさに引立てられる時だけ極めて活溌に私の注意を呼びさますので、その点まことに、御主人伯爵にはお気の毒な次第であります。――例えば」
江守銀二はこんな調子で続けました。
「――明治の末年に、私は初めて東京へ出て来た頃、本郷のとある西洋料理屋で、生れて初めてライス・カレーというものを食べたのであります。あの黄色いトロリとした汁の、白い米の飯と交わり合う具合、脂の多い牛肉と、新しい馬鈴薯の舌ざわりなど、私はこの世の中になんといううまい物が存在することだろうと、涙ぐましい程の感激で、それを二た皿も食べたのであります」