Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lisez 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 531 caractères · 23 écrans
向う側で記事を書いているのなどを覗くと、
「あら、見ちゃイヤ、活字になってから読んで下さいな、私の字はそりゃ下手なんですもの」
そう云って左の腕で原稿を隠し乍ら、上眼使いに相手を見る、小学生のような態度はたまらなく可愛らしいものでした。
こうして二人の間は急速に接近して行ったのです。
最初は何方からともなく喫茶店に誘いました。甘くない珈琲や、甘くない菓子も、二人には大した苦にもならず、妙に奥歯に物の挟まった心持で、脳天に蒸したタオルを載せて居るような、ワクワクした昂奮で、凡そ愚にもつかぬこと、他愛もないことを、さながら人生の大事のように、物々しい調子で話合ったりして居たのです。
二人の手は、何時の間にやら卓の上で、手巾の下でまさぐり合って居ました。そして、その年の夏にはもう、二人は最後の一線の寸前まで辿り着いて居たのです。
だが、斯うまで親しくなった癖に、矢留瀬苗子が、自分の素性も身分も明らかにしてくれず、家も教えてくれないのは何としたことでしょう。新聞社の名簿にある住所は唯のアパートで、調べて見ると足だまりにしか過ぎず、新聞社に提出した履歴書は、社内の秘密の一つで、新米記者の京極三太郎などは、それを見る権力も無く、また取出して調べる方法も無かったのです。