Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おんなはおなじものがたり

女は同じ物語

山本 周五郎

Lisez 女は同じ物語 (おんなはおなじものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 21 279 caractères · 44 écrans

Aozora Bunko

広一郎はのぼせあがって訊いた。そんなに泣くのは相手が嫌いだからか。はい、と紀伊は答えた。それだけで泣くのではないが、相手は好きではない、自分は「いやだ」とはっきり断わったのである、と云った。それで相手は承知しないのか。そうのようです。しつっこいやつだ、と広一郎は云った。相手はなに者だ。お武家です。家中の者か。そうです、御中老の佐野さまの御長男です。すると要平だな。そうです。あの平家蟹め、と広一郎は云った。よし、彼のことは引受けた。でも、紀伊は云った。乱暴をなすっては困ります、あの方はお強いそうですから。いや大丈夫、私は暴力は嫌いだ。本当ですか。大丈夫だ、あいつのことは安心していい、と広一郎は云った。もう一つの理由を聞こう、泣いた理由はほかにもあると云った筈だ。ええ申しました、でもそれは、……紀伊は眼を伏せた。云えないのか、縁談のことさえ云ってしまったのに、もう一つの理由は云えないのか、と広一郎は問いつめた。

紀伊はますます頭を垂れた。見ると耳まで赤くなり、呼吸も深く大きくなっていた。広一郎は恐怖におそわれた。

「おまえ」と彼は乾いた声で云った、「ほかに好きな人がいるんだな」