Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
おんなはおなじものがたり
女は同じ物語
山本 周五郎
Lisez 女は同じ物語 (おんなはおなじものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 21 279 caractères · 44 écrans
すでにとびつきたいような姿勢をみせたが、広一郎は唇をへの字なりにし、じっと宙をにらんでいた。
――あの平家蟹め。
と広一郎は心のなかで云った。
――どうするかみていろ。
その翌日、――広一郎は登城するとすぐに、佐野要平のところへ行った。要平は中老伊右衛門の長男で、国もと小姓組に属している。年は二十八になるが、酒のみのぐうたらべえで、娘を嫁に遣ろうという者がなく、いまだに独身のまま呑んだくれていた。
佐野は貧乏で有名だった。要平をかしらに子供が十三人いるし、妻女は派手好みであり、伊右衛門が浪費家であった。そのため四百七十石の家禄はいつも足らず、八方借りだらけで、要平の呑み代など出る余地がなかった。そこで要平は友人にたかり、到るところに勘定を溜めた。彼は剣術がうまいし、腕っぷしが強かった。酒のために破門されたが、精心館道場では師範代の次席までいったことがある。したがって暴れだすと手に負えないから、たいていの者が泣きねいりということになった。
要平は詰所でごろ寝していた。酔っているのだろう、綽名の「平家蟹」がよく似あう角ばった顔がまっ赤で、肱を枕に、口の端から涎をたらしながら、鼾をかいて眠っていた。