Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おんなはおなじものがたり

女は同じ物語

山本 周五郎

Lisez 女は同じ物語 (おんなはおなじものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 21 279 caractères · 44 écrans

Aozora Bunko

いやそんなことはない。娘が一人で湯治場へ来るなんて、そんなことができる筈はないじゃないか、ばかな空想をするな、と彼は思った。

平野屋はすぐにわかった。一と筋道の左右に、宿や土産物の店などが並んでいる、そのいちばんさきの、川に面したほうに、平野屋はあった。彼は渓流の見える座敷へ案内された、建物は古いが、がっちりとおちついた造りで、ほかには客がないのか、渓流の音だけが、静かに座敷へながれいって来るだけであった。

女中が茶道具と着替えを持って来て、「すぐ湯へおはいりになるか」と訊いた。

彼はあとにしようといい、茶を啜ってから、縁側へ出て外を眺めた。対岸は松林で、楓がたくさんあるのだが、季節が過ぎたのだろう、みんなもう葉が落ちていた。

「お湯へいらっしゃいませんの」

と脇で女の声がした。あまり突然だったから、広一郎はとびあがりそうになった。

振向くと紀伊がいた。

「ああ、――」と彼は云った、「紀伊か」

彼女は大胆に彼をみつめ、媚びた笑いをうかべながら頷いた。

広一郎は眼をみはった。彼女はもう湯あがりで、肌はみずみずと艶っぽく、まるで光りの暈に蔽われたように、ぼうとかすんでみえた。