Classiques japonais avec furigana
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じょせい
女婿
佐々木 邦
Lisez 女婿 (じょせい) de 佐々木 邦 (ささきくに) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 20 954 caractères · 43 écrans
と母親も頼む。
「は、かしこまりました。は」
と一同が自動車に乗り込むのを見送って、清之介君は花嫁の休んでいる部屋へ引き返し、羽織袴のまゝでその枕頭に侍した。式は済んでもまだ言葉一つ交さないのだから女房とは思えない。如何に勇を鼓しても支配人の令嬢という頭がある。
「妙子、何うだね、容態は?」
と食わせれば宜かったのに、清之介君は極めて自然に、
「妙子さん、御気分は如何でございますか?」
とやってしまった。天下を嬶に渡すか渡さないかは最初の第一歩にある。
「頭が痛くて……」
と花嫁はもう余所行きは止めている。ここで覚るところあっても晩くはなかったのに清之介君は、
「もう医者が見える筈でございますが、斯うしている間に一つお熱を計らせて戴きましょう」
と矢張り羽織袴を脱がず、下へも置かない扱いを続けた。
「計って頂戴。大分あるようですよ」
「お待ち下さい。唯今検温器を探して参ります」
「序にお白湯を一杯頂戴、婆やに然う仰有ってね」
と妙子さんは何も当日から支配人の娘を鼻にかけたのでなく、単に良人として遇したのである。然るに清之介君は女房を支配人の令嬢として遇していたから、