Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ようば
妖婆
Lisez 妖婆 (ようば) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 37 473 caractères · 73 écrans
新蔵は思わず拳を握って、お敏の体をかばいながら、必死にこの幻を見つめたと云います。実際その時は総身の毛穴へ、ことごとく風がふきこんだかと思うほど、ぞっと背筋から寒くなって、息さえつまるような心もちだったのでしょう。いくら声を立てようと思っても、舌が動かなかったと云う事でした。が、幸その眼の方でも、しばらくは懸命の憎悪を瞳に集めて、やはりこちらを見返すようでしたが、見る見る内に形が薄くなって、最後に貝殻のようなが落ちると、もうそこには電柱ばかりで、何も怪しい物の姿は見えません。ただ、あの烏羽揚羽のような物が、ひらひら飛び立ったように見えたそうですが、それは事によると、地を掠めた蝙蝠だったかも知れますまい。その後で新蔵とお敏とは、まるで悪い夢からでも醒めたように、うっとり色を失った顔を見合せましたが、たちまち互の眼の中に恐しい覚悟の色を読み合うと、我知らずしっかり手をとり交して、わなわな身ぶるいしたと云う事です。
それから三十分ばかり経った後、新蔵はまだ眼の色を変えたまま、風通しの好い裏座敷で、主人の泰さんを前にしながら、今夜出合ったさまざまな不思議な事を、小声でひそひそと話していました。