Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

みょうなはなし

妙な話

芥川 竜之介

Lisez 妙な話 (みょうなはなし) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 4 810 caractères · 10 écrans

Aozora Bunko

聞けば中央停車場から濠端の電車の停留場まで、傘もささずに歩いたのだそうだ。では何故またそんな事をしたのだと云うと、――それが妙な話なのだ。

千枝子が中央停車場へはいると、――いや、その前にまだこう云う事があった。あいつが電車へ乗った所が、生憎客席が皆塞がっている。そこで吊り革にぶら下っていると、すぐ眼の前の硝子窓に、ぼんやり海の景色が映るのだそうだ。電車はその時神保町の通りを走っていたのだから、無論海の景色なぞが映る道理はない。が、外の往来の透いて見える上に、浪の動くのが浮き上っている。殊に窓へ雨がしぶくと、水平線さえかすかに煙って見える。――と云う所から察すると、千枝子はもうその時に、神経がどうかしていたのだろう。

それから、中央停車場へはいると、入口にいた赤帽の一人が、突然千枝子に挨拶をした。そうして「旦那様はお変りもございませんか。」と云った。これも妙だったには違いない。が、さらに妙だった事は、千枝子がそう云う赤帽の問を、別に妙とも思わなかった事だ。「難有う。ただこの頃はどうなすったのだか、さっぱり御便りが来ないのでね。」――そう千枝子は赤帽に、返事さえもしたと云うのだ。