Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
おばすて
姨捨
堀 辰雄
Lisez 姨捨 (おばすて) de 堀 辰雄 (ほりたつお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 351 caractères · 20 écrans
が、すっかりおとなになった女の身としては、父と一しょにそんな田舎へ下ることも出来悪かった。
或風立った日、父が京に心を残し残し常陸へ下って往った後、女はもう物語の事も忘れてしまったように、明け暮れ、東の山ぎわを眺めながら暮らしていた。「今頃お父う様はどこいらを旅なすっていらっしゃるだろう」と、穉い頃東から上ってきた遠い記憶を辿りながら、その佗びしい道すじの事を浮かべていると、父恋しさは一層まさるばかりだった。朝がた、東の方の黒ずんだ森から、秋の渡り鳥らしいのが一群、急に思い出したように一しょに飛び立って、空を暗くしては山の彼方へ飛び去って往くのなんぞを、女は何がなしいつまでも見送っていた。
晩秋の一日、女は珍らしく思い立って、太秦へ父の無事を祈りに、ひとりで女車に乗って出掛けた。一条へさしかかると、その途中に、物見にでも出掛けるらしい一台の立派な男車が何かを待ちでもしているように駐まっていた。女が簾を深く下ろさせたまま、その前を遠慮がちに通り過ぎて往ってから、暫くして気がつくと、さっきの男車らしいものが跡から見え隠れしながら附いて来ていた。女はそれを気にするように、すこし車を早めながら、太秦まで往き著いて寺にはいってしまうと、いつかもうその男車は見えなくなっていた。