Classiques japonais avec furigana
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おんなけいず
婦系図
泉 鏡花
Lisez 婦系図 (おんなけいず) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 172 760 caractères · 343 écrans
「食うものはこれだけか。」
と酒井は笑みを含んだが、この際、天窓から塩で食うと、大口を開けられたように感じたそうで、襖の蔭で慄然と萎んで壁の暗さに消えて行く。
慌てて、あとを閉めないで行ったから、小芳が心付いて立とうとすると、するすると裾を捌いて、慌しげに来たのは綱次。
唯今の注進に、ソレと急いで、銅壺の燗を引抜いて、長火鉢の前を衝と立ち状に来た。
前垂掛けとはがらりと変って、鉄お納戸地に、白の角通しの縮緬、かわり色の裳を払って、上下対の袷の襲、黒繻珍に金茶で菖蒲を織出した丸帯、緋綸子の長襦袢、冷く絡んだ雪の腕で、猶予らう色なく、持って来た銚子を向けつつ、
「お酌、」
冴えた音を入れると、鶯のほうと立つ、膳の上の陽炎に、電気の光が和いで、朧々と春に返る。
「まだ宵の口かい。」
「柏家だけではね。」と莞爾する。
「遠慮なく出懸けるが可い、しかし猥褻だな。」
「あら、なぜ?」
「十一時過ぎてからの座敷じゃないか。」
「御免なさいよ、苦界だわ。ねえ、早瀬さん、さあ、めしあがれよ、ぐうと、」
「いいえ、もう、」
主税は猪口を視むるのみ。
「お察しなさいよ。」
と先生にまたお酌をして、