Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おんなけいず

婦系図

泉 鏡花

Lisez 婦系図 (おんなけいず) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 172 760 caractères · 343 écrans

Aozora Bunko

枕をかけて陰々とした、燈の間に、あたかも鞠のような影がさした。棚には、菅子が活けて置いた、浅黄の天鵝絨に似た西洋花の大輪があったが、それではなしに――筋一ツ、元来の薬嫌が、快いにつけて飲忘れた、一度ぶり残った呑かけの――水薬の瓶に、ばさばさと当るのを、熟と瞻めて立つと、トントントンと壇を下りるような跫音がしたので、どこか、と見当も分らず振向いたのが表階子の方であった。その正面の壁に、一番明かった燈が、アワヤ消えそうになっている。

その時、蛾に向うごとく、衝と踏込む途端に、

「私ですよう引」と床に沈んで、足許の天井裏に、電話の糸を漏れたような、夢の覚際に耳に残ったような、胸へだけ伝わるような、お蔦の声が聞えたと思うと、蛾がハタと落ちた。

はじめて心付くと、厠の戸で冷く握って、今まで握緊めていた、左の拳に、細い尻尾のひらひらと動くのは、一尾の守宮である。

はっと開くと、雫のように、ぽたりと床に落ちたが、足を踏張ったまま動きもせぬ。これに目も放さないで、手を伸ばして薬瓶を取ると、伸過ぎた身の発奮みに、蹌踉けて、片膝を支いたなり、口を開けて、垂々と濺ぐと――水薬の色が光って、守宮の頭を擡げて睨むがごとき目をかけて、滴るや否や、くるくると風車のごとく烈しく廻るのが、見る見る朱を流したように真赤になって、ぶるぶると