Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lisez 季節のない街 (きせつのないまち) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 201 379 caractères · 394 écrans
「誰かさんは誰かさんさ、こう云えばご本人にはわかるだろ、自分たちで思い当らないんなら、他人のことで気を揉むんじゃないよ」
「それはいいけどさ、肝心なことはうまくいったのかい」
「ほんとか嘘かわからないけどもね、平さんは小屋の中で、蝋燭をとぼして坐ってたって」
眼が落ちくぼみ、頬がこけて、乏しい蝋燭の火がゆれると、その顔が骸骨のようにみえた。そうして、はいっていった女を見た彼は、低いしゃがれ声で、「お蝶か」と云った。それは墓の下からでも聞えてくるような声で、女は骨の凍るほどそうけ立ち、そのまま夢中で外へとびだしたという。
「嘘かほんとか知らないけどね、その道にかけちゃあ腕っこきの誰かさんだし、狙ってものにしなかったためしのない人だから、案外そのとおりかもしれないよ」
「お蝶って誰だろう」
「この長屋うちのどこかにいるかもしれないね」
「それとも別れたか死んだかした、もとのおかみさんかもしれないしね」
こういう噂話が、平さんの耳に届いたかどうかはわからない。彼は石のように無くちで、そっけなく、頑固に自分の孤独を守っていた。
平さんのしょうばいは、マットレスを作って売ることだった。