Classiques japonais avec furigana
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lisez 季節のない街 (きせつのないまち) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 201 379 caractères · 394 écrans
という仕組になっているようだ。たんば老人の遠慮がちな意見によれば、これは日本のさいとり経済を救うための、必要な政治的操作なのだそうで、これを聞いた寒藤先生は肩をいからせ、たんばくんは赤じゃないのかと非難し、そんな危険思想の持ち主だとすると、将来からきめにあうだろうと云った。
ところが、どんな危険思想をも持たない先生自身が、たんば老人より先にからきめにあうことになった。というのが、或る日の昏れがた、先生が資金調達から帰って来ると、待っていたように治助がどなりこんで来た。
「やい先生、よくもおれのかかあを取りゃあがったな」
そして彼は腕まくりをした。
治助はこの「街」ではたらき者に数えられている。としは四十七か八、子供は六人いたが、五歳になる末っ子のほかはみな、どこかへとびだしてしまった。おはちといういまの女房は三度めで、としは治助より二十歳くらい下であろう、東北の生れだというが色白のきりょうよしで、けれども子供たちの母親ではなく、治助と夫婦になってから、まだ二年そこそこにしかならなかった。
治助は平生おちついた男で、たんば老人の話によると、「めしを食ったものかどうかと、よくよく思案してみたうえで、初めてめしを食うことにきめた」