Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lisez 季節のない街 (きせつのないまち) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 201 379 caractères · 394 écrans
――そして八十日ほど経った或る日、荒地のくぬぎ林のところで遊んでいた子たちが、一人の男に話しかけられて吃驚した。
「あ、ちょろさんだ」
と子供たちの一人が叫んだ。
それは土川春彦であった。新しいけれども躯に合わない背広に、ぺらぺらの安っぽいソフトをかぶり、左の脇に革の折鞄を抱え、そして素足に下駄をはいていた。
「ぼくだよ」と彼は子供たちにあいそ笑いをし、追われでもしているように、おちつかない眼であたりを見やりながら云った、「――うちにいたばんくんはどうしたか知ってる?」
「知ってる」と子供の一人が答えた、「かぼちゃだろ」
「ああかぼちゃだ、どうしてる」
「どうもしないよ、まだもとの家にいるよ、なあ」
その子がなかまに同意を求めると、みんな頷いたり、いるさ、とか、もとのまんまだよ、などと云った。ちょろは一瞬どきっとし、またきょろきょろと、あたりに警戒の眼をはしらせた。
「もとのままだって」と彼はきき返した、「ずっと一人でいるのかね」
「おばさんといっしょだよ」
「おばさんだって」
「そうさ、知ってるだろ」と一人が答えた、「せんにちょろさんのとこにいた、ほら、あのおばさんだよ、ほらあの、怒ってばかりいる」