Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lisez 季節のない街 (きせつのないまち) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 201 379 caractères · 394 écrans
などがいて、はら立たしげに耳こすりをすることがないでもなかった。
「おまえさん見たかい」と眼のするどいかみさんは云う、「おるいさんとこじゃ今日っから袷を着てるよ、へっ、あてつけがましい、なまいきじゃないかほんとに」
こういう長屋に住む以上は、長屋どうしのつきあいというものがある。てめえのうちでは袷を着られるからいいわで、勝手に袷を着るというのはつきあい知らずのみえっ張りだ、とその眼のするどいかみさんはきめつけたものだ。
おるいさんは敏感にこういう蔭口を聞きつける。そしてすぐに巧みな手を打つのだ。
「あんたのとこではみなさんお丈夫でいいわねえ」おるいさんは眼のするどいかみさんに向って、あいそよくこう話しかける、「あたしんとこはみんな弱いんで困っちまうのよ、あんたのとこみたいにいい稼ぎがあればいいんだけれど、うちじゃあ配達の仕事だけでたかが知れてるし、あたしが内職したってろくな物も喰べられやしないわ、だから子供たちの躯にも精が付かないんでしょうね、秋ぐちになるともう風邪をひいちまうんですよ」
そして袷を着るのは必要上やむを得ないのだ、ということを相手に納得させ、同時に、そんなことに気を使わなくても済む人たちのことが、どんなに羨ましいかと繰り返すのであった。