Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
Lisez 孤島の鬼 (ことうのおに) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 181 795 caractères · 359 écrans
昔は、諸戸屋敷の外に、ここにも別の屋敷があったのかも知れない。
それは兎も角、私は間もなく、問題の土蔵のすぐ下に達した。無論土塀はあったけれど、蔵が土塀に接して建っているので、外からでも極く間近く見える。予期した通り、土蔵の二階には、裏手に向って小さな窓が開いていた。鉄棒のはまった所まで、例の日記の通りである。私は胸を躍らせながら、その窓を見上げて、辛抱強く立ちつくしていた。はげ残った白壁に、朝日が赤々と照映えて、開放的な海の香が、ソヨソヨと鼻をうつ。凡てが明るい感じで、この土蔵の中に例の怪物が住んでいるなどとは、どうにも考えられないのだ。
だが、私は見た。暫く傍見をしていて、ひょいと目を元に戻すと、いつの間にか、窓の鉄棒のうしろに、胸から上の、二つの顔が並び、四本の手が鉄棒を掴んでいた。
一つの顔は青黒く、頬骨の立った、醜い男性であったが、もう一つのは、赤味はなかったけれど、きめの細い真白な若い女性の顔であった。
少女の一杯に見開いた目が、私の見上げる目とパッタリ出会うと、彼女は此世の人間には見る事の出来ない様な、一種不思議な羞恥の表情を示して、隠れる様に首をうしろに引いた。