Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
Lisez 孤島の鬼 (ことうのおに) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 181 795 caractères · 359 écrans
そして、直ぐ様、どこか向うの方から、小さな声で、
「アッ、縄がない」
と答えるものがあった。地の底の谺である。
諸戸はその声に、驚いてうしろをふり返って、「エ、なに」と私の方へ蝋燭をさしつけた。
焔がユラユラと揺れて、彼の全身が明るくなった。その途端、「アッ」という叫声がしたかと思うと、諸戸の身体が、突然私の眼界から消えてしまった。蝋燭の光も同時に見えなくなった。そして、遠くの方から、「アッ、アッ、アッ……」と諸戸の叫声が段々小さく、幾つも重なり合って聞えて来た。
「道雄さん、道雄さん」
私は慌てて諸戸の名を呼んだ。
「道雄さん、道雄さん、道雄さん、道雄さん」と谺が馬鹿にして答えた。
私は非常な恐怖に襲われ、手さぐりで諸戸のあとを追ったが、ハッと思う間に、足をふみはずして、前へのめった。
「痛い」
私の身体の下で、諸戸が叫んだ。
なんのことだ。そこは、突然二尺ばかり地面が低くなっていて、私達は折重なって、倒れたのである。諸戸は転落した拍子に、ひどく肘をうって、急に返事をすることが出来なかったのだ。
「ひどい目にあったね」
闇の中で諸戸が云った。そして、起上る様子であったが、やがて、シュッという音がしたかと思うと、諸戸の姿が闇に浮いた。