Classiques japonais avec furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lisez 家 (いえ) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 141 411 caractères · 285 écrans
お種は手に持った箒で、破壊された庭の跡を弟に指して見せた。向うの傾斜の上の方に僅かに木小屋が一軒残った。朝のことで、ツルハシを担いだ工夫の群は崖の下を通る。
お種は可恐しいものを見るような眼付して、弟と一緒に奥座敷へ引返した。幸作は表座敷から来て、三吉の注文して置いた墓石が可成に出来上ったこと、既に三吉の故郷へ積み送ったことなぞを話した。お種は妙に改まった。
朝飯には、橋本の家例で、一同炉辺に集った。高い天井の下に、拭き込んだ戸棚を後にして、主人から奉公人まで順に膳を並べて坐ることも、下婢が炉辺に居て汁を替えることも、食事をしたものは各自膳の仕末をして、茶椀から箸まで自分々々の布巾で綺麗に拭くことも――すべて、この炉辺の光景は達雄の正座に着いた頃と変らなかった。しかし、席の末にかしこまって食う薬方の番頭も、手代も、最早昔のような主従の関係では無かった。皆な月給を取る為に通って来た。
「御馳走」
と以前の大番頭嘉助の忰が面白くないような顔をして膳を離れた。この人は幸作と同じに年季を勤めた番頭である。幸作は自分の席から、不平らしい番頭の後姿を見送って、「為るだけのことを為れば、それで可いじゃないか」