Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
いえ
家
島崎 藤村
Lisez 家 (いえ) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 126 748 caractères · 254 écrans
と称えるは、莢豌豆のことで、その実の入った豆を豚の脂でいためて、それにお雪は塩を添えたものを別に夫の皿へつけた。彼女は夫の喜ぶ顔を見たいと思った。
「頂戴」
とお福や書生は食い始めた。三吉は悪い顔色をして、折角お雪が用意したものを味おうともしなかった。
「今日は碌に召上らないじゃ有りませんか……」
と言って、お雪は萎れた。
その晩、三吉は遅くまで机に対って、書籍を開けて見たが、彼が探そうと思うようなものは見当らなかった。復た夜通し考え続けた。名倉の母へ手紙でも書こうか、お雪の親しい友達に相談しようか、と思い迷った。
錯乱した頭脳は二晩ばかり眠らなかった為に、余計に疲れた。彼はお雪と勉の愛を心にあわれにも思った。ブラリと家を出て、復た日の暮れる頃まで彷徨いた三吉は、離縁という思想を持って帰って来た。もし出来ることなら、自分が改めて媒妁の労を執って、二人を添わせるように尽力しよう、こんなことまで考えて来た。
家出――漂泊――死――過去ったことは三吉の胸の中を往ったり来たりした。「自分は未だ若い――この世の中には自分の知らないことが沢山ある」この思想から、一度破って出た旧い家へ死すべき生命も捨てずに戻って来た。