Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
いえ
家
島崎 藤村
Lisez 家 (いえ) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 126 748 caractères · 254 écrans
それを曾根は取出した。旅に来ては客をもてなす物も無かったのである。その曾根が東京の友達から借りて来たと言って、出して見せたような書籍は、以前三吉も読み耽ったもので、そういう書籍の中にあるような思想に長いこと彼も生活していた。この山の上へ移ってから、次第に彼の心は曾根の愛読するような書籍から離れた。折角の厚意と思って、三吉はその書籍を手に取って見た。しかし、彼は別の話に移ろうとした。こうして彼が曾根の宿へ訪ねて来たのは、他でもなかった。彼は平素曾根の口から聞く冷い刺すような言葉を聞きたくて来たのである。自分の馬鹿らしさを嘲られたくて来たのである。
意外にも、その日の曾根は涙ぐんでいるような人であった。何となく平素よりは萎れていた。
「小泉さん、ここへ被入しって御覧なさい――まあ、ここまで被入しって御覧なさい」
曾根は窓に近い机の側へ行って、そこに客の席を作ろうとしたが、三吉は辞退した。
「ここで沢山です」と三吉は答えて、新しい巻煙草に火を点けた。
柱には、日蔭干にした草花の束が掛けてあった。曾根は壁のところに立って、眼を細くしてその花束を嗅いで見せた。