Classiques japonais avec furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lisez 家 (いえ) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 126 748 caractères · 254 écrans
「正太さんですか」と三吉も巻煙草を燻しながら、「なにしろ、まだ若いんですもの。話をして見ると心地の好い人ですがねえ。どうかするとこう物凄いような感じのすることが有る。あそこは、僕は面白いところじゃないかと思いますよ」
「実は、私も、そうも思って見てる」
こう達雄が言った。
「何卒まあウマくやって貰わないと――橋本の家に取っては大事な人だで」とお種は三吉の方を見て、「兄さんもこの節は彼のことばかり心配してますよ。吾家でも、御蔭で、大分商法が盛んに成って、一頃から見ると倍も薬が売れる。この調子で行きさえすれば内輪は楽なものなんですよ。他に何も心配は無い。唯、彼が……」と言いかけて、声を低くして、「近頃懇意にする娘が有るだテ」
「有りそうなことだ」と三吉は正太を弁護するように言う。
「お前さんは直にそうだ」とお種は叱って見せて、「若いものの肩ばかり持つもんじゃ有りませんよ」
「やはりこの町の人ですか」と三吉が聞いた。
「ええ、そうですよ」とお種は受けて、「兄さんにしろ、私にしろ、どうもそこが気に入らん」
こういう話をして居る間、お仙は手持無沙汰に起ったり坐ったりして、時には親達の話の中で解ったと思うことが有る度に、独り微笑んだりしていたが、つと母の傍へ寄った。