Classiques japonais avec furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lisez 家 (いえ) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 126 748 caractères · 254 écrans
と母に言われて、お仙はどう思うことを言い表して可いか解らないという風であった。この無邪気な娘は、唯、「ええ、ええ」と力を入れて言っていた。
庭伝いに奥座敷へ上ってから、お種は沢田という老人を三吉に紹介した。この老人は、直樹の叔父にあたる非常な神経家で、潔癖が嵩じて一種の痼疾のように成っていたが、平素癇の起らない時は口の利きようなども至極丁寧にする人である。
老人は三吉に向って、よく直樹を東京から連れて来てくれたと言って、先ずその礼を述べた。
「三吉」と姉は引取って、「この沢田さんは、やはりお前さんの父親さんのように、国学や神道の御話が好きで……父親さんが生きてる時分には、よく沢田さんの御宅へ伺っては、歌なぞを咏んだものだぞや」
こうお種が言出したので、老人も思出したように、
「ええ……左様だ……貴方がたの父親さんは、こう大きな懐をして、一ぱい書籍を捩込んでは歩かっせる人で……」
思わず三吉は、この姉の家で、父の旧友の一人に逢った。背の低い、瘠ぎすな、武士らしい威厳を帯びた、憂鬱と老年とで震えているような人を見た。三吉も狂死した父のことを考える年頃である。