Classiques japonais avec furigana
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ふじとざん
富士登山
高浜 虚子
Lisez 富士登山 (ふじとざん) de 高浜 虚子 (たかはまきょし) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 4 282 caractères · 9 écrans
眼下に見下ろす半腹より以下の展望は歩一歩偉大となるのであるが、前面に見上ぐる半腹以上の形は殆んど何の変りもない。流石に大きな山だと首肯かれた。
私の遅々たる徐歩主義は漸く勝を占めかけて、四合目五合目あたりから、先きに行った人をそろそろと追い越すようになった。私は格別呼吸の困難をも感じないでいたのであるが、初め勢いこんで駈け上った人は、もう息を切らして道端に休んでいた。確か七合目あたりで午飯を食ったように覚えているが、其頃の岩室は極めて粗末なもので、這入口は石で取かこまれていて、其中に這入ると蓆が敷いてあって、其奥に一人の人が居て手桶に汲んだ水が置いてある他に、竈や、鍋や釜などが置いてあった。それから奥まった所に少しばかり蒲団が積んであって、其手前にビールの瓶や鑵詰類などが並べてあったように記憶する。岩室の中でも頂上に次では此の七合目あたりがいいのだと聞いて居ったが、それですらがこんな質素なものであった。尤も地中に掘り込んだ岩窟であるから非常に発達したという今日でも尚お大した変化はないかも知れぬが、その岩室の低い天井からランプを釣り下げて、其暗い灯かげに無愛想な顔をして一人の男が坐っていた光景は余りいい心持のものではなかった。