Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
かんざくらのはなし
寒桜の話
牧野 富太郎
Lisez 寒桜の話 (かんざくらのはなし) de 牧野 富太郎 (まきのとみたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 728 caractères · 8 écrans
公園唯一のこのカンザクラは、今日はその樹がどうなったか、ここも私は久しく行かぬゆえ今その辺の消息が分からないが、大震災後同館内もだいぶ変わったから、今日では果してそれがどうなっているか、安全? 異変があった? そこへ行ってみれば分かることだが、もしも旧来からの場所に見えないとならば、この名樹は今どこへ移されたか、あるいはむざんに切られたか、それを突き止めてみたい気もする。
右博物館内のこのカンザクラについては、ここに左の話を書き残しておかねばならぬことがある。このカンザクラは私にとっては思い出の深い一樹であるからである。
明治から大正へかけて、私は一度右の帝室博物館の天産部に兼勤していたことがあった。それはむろん大震災の前であった。その時分には上野公園は博物館と同じく宮内省の所属であって、公園は博物館で管理していた。当時私の考えたのには、もしあの早く咲くカンザクラが少なくも十本でも二十本でも上野公園内に植えられ、同公園に一族の桜花が他の花に率先して咲いてその風景に趣を添えたとしたら、どれほどみなの人に珍しがられることであろうと信じた。
そこでそのとき上手な植木屋に命じて、その一本の親木から接ぎ穂を採って用意せる砧木に接がせてみた。