Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しょうぐん

将軍

芥川 竜之介

Lisez 将軍 (しょうぐん) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 14 852 caractères · 31 écrans

Aozora Bunko

穂積中佐もほっとしながら、彼の周囲を眺め廻した。周囲にい並んだ将校たちは、いずれも幾分か気兼そうに、舞台を見たり見なかったりしている、――その中にたった一人、やはり軍刀へ手をのせたまま、ちょうど幕の開き出した舞台へ、じっと眼を注いでいた。

次の幕は前と反対に、人情がかった旧劇だった。舞台にはただ屏風のほかに、火のともった行燈が置いてあった。そこに頬骨の高い年増が一人、猪首の町人と酒を飲んでいた。年増は時々金切声に、「若旦那」と相手の町人を呼んだ。そうして、――穂積中佐は舞台を見ずに、彼自身の記憶に浸り出した。柳盛座の二階の手すりには、十二三の少年が倚りかかっている。舞台には桜の釣り枝がある。火影の多い町の書割がある。その中に二銭の団洲と呼ばれた、和光の不破伴左衛門が、編笠を片手に見得をしている。少年は舞台に見入ったまま、ほとんど息さえもつこうとしない。彼にもそんな時代があった。……

「余興やめ! 幕を引かんか? 幕! 幕!」

将軍の声は爆弾のように、中佐の追憶を打ち砕いた。中佐は舞台へ眼を返した。舞台にはすでに狼狽した少尉が、幕と共に走っていた。その間にちらりと屏風の上へ、男女の帯の懸かっているのが見えた。