Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しょうせつちゅうのおんな
小説中の女
豊島 与志雄
Lisez 小説中の女 (しょうせつちゅうのおんな) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 7 887 caractères · 16 écrans
翌日の朝から書き初める筈のその小説は、頭の中では大体出来上っていた。けれどもただ一つ、未だにはっきりしない点が残っていた。それは小説の中に出てくる女性みさ子の面影だった。みさ子は現代的な若い女性で、理知的な顔立に一味の憂鬱を湛え、皮肉と温情とが適度に交り合い、眼尻に微笑の影が漂い、口元がきっとしまって、白い歯並が少し乱れ、すらりとした身長で、心持ち跛足でなければいけなかった。がさて、それだけのことははっきり分っていながら、それを頭の中に浮べようとすると、どうも面影が生き上ってこなかった。こうだああだと細かく線を引いてみても、全体の立像がはっきり浮び上ってこなかった。……然し、ぼんやりした靄越しに、彼女がすぐ其処に立ってることを、私ははっきり知っていた。靄がすっと消えていって、今にも彼女がまざまざと現れてくるかも知れなかった。星雲から星々の形体が凝結してくるように、ただ一面にもやもやとしたものから、次第に一つのまとまった形体が刻み上げられる、それが普通の径路である。私はそういう時を待ちながら、或る焦燥と興奮と期待とのうちに、まだ形を具えないみさ子の姿を心で見つめていた。