Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あきかぜとはは

尾崎士郎短篇集

尾崎 士郎

Lisez 尾崎士郎短篇集 (あきかぜとはは) de 尾崎 士郎 (おざきしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 108 032 caractères · 216 écrans

Aozora Bunko

母は未だ若く艶やかに張りきった肉体を持っていた。そのころであったか、あるいはそれからずっと後であったか私にはおぼろ気な記憶しか残っていないのであるが、ある夜、母は薄い着物を着ていたからたぶん夏であろう、――私は母とならんで田舎の家の中庭に面した縁側に立っていた。月のいい晩で、樹立をめぐってくる風が何がなしに一脈の哀愁を湛えていた。もっともそれは私のかすかなおもいでの中にうかんでくる情景であるが……。そのとき母が急に庭石の上へとびおりたのだ。平ぺったい庭石を二つ三つ渡ってから急に私の方をふりむいてじっと立ちどまった。私はそのときの母の姿勢をおぼえている。彼女は何ものかに対して一つの姿態を示しているのであった。私の眼の前に立っている人が自分の母であるということを感ずるより前に静かな胸の顫えを感じた、私はそのまま衝動的にとびおりて母に近づいていった。すると母は慌てて私を抱くようにしたが急に私の肩をつかんでいた手を離した。すると私は声をあげて泣きだしたのだ。何故かといって、いそいそ私から視線をそらした母の眼の中に私はたしかに涙のたまっているのを見たのだから。