Classiques japonais avec furigana
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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
Lisez 山の憶い出 上 (ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)) de 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 284 014 caractères · 565 écrans
出した、主脈にしては少し低過ぎるように感じたので、毛勝から大明神へ続く尾根の一部ではないかと思ったが、翌日になって矢張釜谷山と毛勝とを連続する主脈の鞍部であることが分った。
振り返えると、大明神山に屯していた積雲の集団はいつか溶け去って、海鼠のような怪しげな雲が山の肌をのろのろ匐っている。谷間の空気はドンヨリと薄く濁って、末は低く垂れた幽鬱な空の方に拡がって行く。其下に富山平原の一部が一様に灰色の幕に裹まれて、死滅した世界のように静に横たわっている。
雪が尽きて急な岩の梯子を二十間許り登ると、渓が左右に分れて、片麻岩の大塊が鋸の歯のような鋭い圭角をいら立たせて押重っている下に、小砂利を敷き詰めた平があって、泡の浮いた薄汚い水が溜っている。最う泊り場所を探さなければならない時刻になった。此処は水に不自由はないが位置が如何にも悪い。私達は荷持ちの連中を残して其処らを探し歩いた。南日君は左の谷を探りながら登って行った。私は左右の渓に挟まれた急な尾根を攀じ登って、其処に草原を取り巻いて垣根のように生えている偃松の姿を見た時には、何だか一年振りで自分の故郷へでも帰って来たような気がした。