Classiques japonais avec furigana
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あずさがわのじょうりゅう
山岳紀行文集 日本アルプス
小島 烏水
Lisez 山岳紀行文集 日本アルプス (あずさがわのじょうりゅう) de 小島 烏水 (こじまうすい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 138 795 caractères · 274 écrans
暁天までには、焚火のとろとろ火に伴れて、穴へでも落ちたようにグッスリと寝込んでしまった、眼が覚めると鳥の声がする、谷間に「ひんから」「ひんから」と響きわたる、それが年久しく谷川の底に沈んでいる、透き通った、白い冷たい、磁器の魂が啼くのでもあるようだ。
起きて見ると、霧が団くなり、筋になり、樹の間から立つ、森からも、谷底からも、ふわりと昇る、例の山款冬の茎を、醤油と鰹節とで煮しめて、菜にする、苦味のない款冬である、それから昨夕の残飯に、味噌をブチ込んで「おじや」を拵えて啜る、昼飯の結飯は、焚火にあてて山牛蒡の濶葉で包む、晃平の言うところによると、西山の村では、この牛蒡の葉を、餅や団子に捏ね入れて、草餅を作るそうだ、蓬のように色が好くはないが、味は宜いと。
一夜作りの屋根――樅の青枝を解き施して、焚火に燻ゆらしてしまう、どんなに山が荒れても、この谷底まで退かない決心である、脂の臭いのする烟は、シュウシュウと呻りながら霧に交わってってゆく。
川に沿いて、一、二丁も溯り、正東の沢へと入る、石の谷というよりも、不規則に、石を積み累ねた階段である、石からは水が声を立てて落ちている、石の窪みには澄んだ水が湛えている、その上に、楢の葉が一枚、引きって捨てた紙片のように、浮いている、自然という無尽蔵は、何物をも、こうして