Classiques japonais avec furigana
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ひゃくものがたり
山椒大夫・高瀬舟
Lisez 山椒大夫・高瀬舟 (ひゃくものがたり) de Mori Ōgai (森 鴎外) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 45 466 caractères · 92 écrans
そして翁の満足を贏ち得ることも折々あった。
翁の医学は Hufeland の内科を主としたもので、その頃もう古くなって用立たないことが多かった。そこで翁は新しい翻訳書を幾らか見るようにしていた。素とフウフェランドは蘭訳の書を先輩の日本訳の書に引き較べて見たのであるが、新しい蘭書を得ることが容易くなかったのと、多くの障碍を凌いで横文の書を読もうとする程の気力がなかったのとの為めに、昔読み馴れた書でない洋書を読むことを、翁は面倒がって、とうとう翻訳書ばかり見るようになったのである。ところが、その翻訳書の数が多くないのに、善い訳は少ないので、翁の新しい医学の上の智識には頗る不十分な処がある。
防腐外科なんぞは、翁は分っている積りでも、実際本当には分からなかった。丁寧に消毒した手を有合の手拭で拭くような事が、いつまでも止まなかった。
これに反して、若い花房がどうしても企て及ばないと思ったのは、一種の Coup d'il であった。「この病人はもう一日は持たん」と翁が云うと、その病人はきっと二十四時間以内に死ぬる。それが花房にはどう見ても分からなかった。
只これだけなら、少花房が経験の上で老花房に及ばないと云うに過ぎないが、実はそうでは無い。