Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ひゃくものがたり
山椒大夫・高瀬舟
Lisez 山椒大夫・高瀬舟 (ひゃくものがたり) de Mori Ōgai (森 鴎外) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 45 466 caractères · 92 écrans
正面の背景になっている、濃い褐色に光っている戸棚の板戸の前に、煎餅布団を敷いて、病人が寝かしてある。家族の男女が三四人、涅槃図を見たように、それを取り巻いている。まだ余りよごれていない、病人の白地の浴衣が真白に、西洋の古い戦争の油画で、よく真中にかいてある白馬のように、目を刺激するばかりで、周囲の人物も皆褐色である。
「お医者様が来ておくんなされた」
と誰やらが云ったばかりで、起って出迎えようともしない。男も女も熱心に病人を目守っているらしい。
花房の背後に附いて来た定吉は、左の手で汗を拭きながら、提げて来た薬籠の風呂敷包を敷居の際に置いて、台所の先きの井戸へ駈けて行った。直ぐにきいきいと轆轤の軋る音、ざっざっと水を翻す音がする。
花房は暫く敷居の前に立って、内の様子を見ていた。病人は十二三の男の子である。熱帯地方の子供かと思うように、ひどく日に焼けた膚の色が、白地の浴衣で引っ立って見える。筋肉の緊まった、細く固く出来た体だということが一目で知れる。
暫く見ていた花房は、駒下駄を脱ぎ棄てて、一足敷居の上に上がった。その刹那の事である。病人は釣り上げた鯉のように、煎餅布団の上で跳ね上がった。