Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しまばらしんじゅう

島原心中

菊池 寛

Lisez 島原心中 (しまばらしんじゅう) de 菊池 寛 (きくちかん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 14 293 caractères · 29 écrans

Aozora Bunko

『なるほどね。そういうわけか。あの錦木という女は、えらい女だな。しかし、そりゃお前、嘘じゃないか。その女が、喉を突いたところを、もう一度いってみんか』

同じことを、二度いわせるのが、僕らが尋問の常套手段なのです。被告が嘘をいっていれば、きっとそこにつじつまの合わないところができるのです。が、それにしても、喉に傷を持っている被告に二度同じことを繰り返させることが、かなり残酷のように思われないでもなかったのです。が、その当時、僕の熾烈な職務心は、そんな心をすぐ打ち消したのでした。

それでも、若者は前の陳述と矛盾しないように、同じことを繰り返しました。

『そうかね。その女が、一人でやった! が、お前手伝ってやりはしなかったかね。女が可哀そうじゃないかね。どうせ二人で死んで行くのだもの。女が苦しんでいれば、お前も手をとって力を添えてやるのが人情じゃないか。それが、人間として美しいことじゃないかね。いいか悪いかは別問題として、そうあるべきところじゃないかね』

先刻、女の死体を一目見たときに、僕は女が、どちらかといえば、呼吸器でもが悪いように瘠せた女で、男が陳述するような、勇気がある女とは、どうしても思えなかったのです。